罪深く、私を奪って。
そんな私の気持ちを見透かすように、彼は小さく笑って立ち上がると、私の指さしたドアを大きく開いた。
ソファーから体を起こして、その開かれたドアの向こうの薄暗い部屋に目を凝らすと、
「ニャー」
そこにいたのは1匹の白い猫だった。
ドアを開けてくれた石井さんを見上げて小さく鳴くと、軽やかな足取りで歩いてきて、ひょいとソファーに飛び乗った。
「ね、猫……?」
無機質でシンプルな石井さんの部屋に、唯一彼らしくない温かみのある小さな生き物。
石井さんが猫を飼ってるなんて、すごく意外だ。
ソファーに飛び乗ったその猫は、小さな額を私の膝にこすりつけ、「ニャー」と鳴いた。
「猫、苦手じゃない?」
「大丈夫です。すごくかわいい」
恐る恐るその猫に向かって手を伸ばすと、小さな鼻を動かし私の指先に近づける。
そして何かを確認するように匂いを嗅ぐと「ニャ」と短く鳴いて、私の手の甲に頬ずりした。
「抱いてもいいですか?」
「どうぞ」
歩み寄ってきたその猫を両手でそっと持ち上げると、柔らかい毛並と暖かい体。
そしてそのしなやかさに驚いた。
「わ、軽い……」
「ああ、もうけっこう歳だから見た目より痩せてる」
「いくつなんですか?」
「十、何年かな」
「へぇ……。人懐っこいから、まだ子供なのかと思いました」
動物に詳しくないからよくわからないけど、きっと人間の年齢にすればこの子の方が私よりもずっと年上なんだろう。
ソファーから体を起こして、その開かれたドアの向こうの薄暗い部屋に目を凝らすと、
「ニャー」
そこにいたのは1匹の白い猫だった。
ドアを開けてくれた石井さんを見上げて小さく鳴くと、軽やかな足取りで歩いてきて、ひょいとソファーに飛び乗った。
「ね、猫……?」
無機質でシンプルな石井さんの部屋に、唯一彼らしくない温かみのある小さな生き物。
石井さんが猫を飼ってるなんて、すごく意外だ。
ソファーに飛び乗ったその猫は、小さな額を私の膝にこすりつけ、「ニャー」と鳴いた。
「猫、苦手じゃない?」
「大丈夫です。すごくかわいい」
恐る恐るその猫に向かって手を伸ばすと、小さな鼻を動かし私の指先に近づける。
そして何かを確認するように匂いを嗅ぐと「ニャ」と短く鳴いて、私の手の甲に頬ずりした。
「抱いてもいいですか?」
「どうぞ」
歩み寄ってきたその猫を両手でそっと持ち上げると、柔らかい毛並と暖かい体。
そしてそのしなやかさに驚いた。
「わ、軽い……」
「ああ、もうけっこう歳だから見た目より痩せてる」
「いくつなんですか?」
「十、何年かな」
「へぇ……。人懐っこいから、まだ子供なのかと思いました」
動物に詳しくないからよくわからないけど、きっと人間の年齢にすればこの子の方が私よりもずっと年上なんだろう。