罪深く、私を奪って。
はじめて会った私に警戒することなく、膝の上で気持ちよさそうに喉を鳴らす小さな生き物。
その温かさと息遣いを感じるだけで、なぜか気持ちが落ち着いた。
「なんか、石井さんが猫を飼ってるって意外です」
そう言うと、石井さんはソファーに座る私の横、ひじ掛けに軽く腰をかけて小さく笑った。
きっとよくそう言われてるんだろう。
「昔から実家で飼ってた猫なんだけど、俺にしか懐かないから家を出るときに連れてきた」
こんなに人懐っこいのに?
私の背後から手を伸ばし、私の膝の上の白い猫を軽くなでる。
その長い指にすりよって気持ち良さそうに喉を鳴らす猫を見て、きっとこの子は女の子だろうな、なんて考えた。
「なんていう名前なんですか?」
「シロ」
「白いから?」
「そう」
猫を飼っているだけでも十分意外なのに、そんなベタな名前をつけるなんて。
思わず背後にいる石井さんを振り返ると、リラックスした優しい顔で私と猫のシロの事を見下ろしていた。
冷たくて意地悪な彼らしくない一面。
会社の女の子達がこんな石井さんを見たら驚くだろうな。
そんな事を考える反面、この彼の表情を誰にも見せたくないなんて、馬鹿げたことを思ってしまう。
そんな事を願ったって、この表情が私だけのものになる事なんてないのに。
「猫飼ってんの?」
「え?」
「なんか、やけに懐かれてるから」
その温かさと息遣いを感じるだけで、なぜか気持ちが落ち着いた。
「なんか、石井さんが猫を飼ってるって意外です」
そう言うと、石井さんはソファーに座る私の横、ひじ掛けに軽く腰をかけて小さく笑った。
きっとよくそう言われてるんだろう。
「昔から実家で飼ってた猫なんだけど、俺にしか懐かないから家を出るときに連れてきた」
こんなに人懐っこいのに?
私の背後から手を伸ばし、私の膝の上の白い猫を軽くなでる。
その長い指にすりよって気持ち良さそうに喉を鳴らす猫を見て、きっとこの子は女の子だろうな、なんて考えた。
「なんていう名前なんですか?」
「シロ」
「白いから?」
「そう」
猫を飼っているだけでも十分意外なのに、そんなベタな名前をつけるなんて。
思わず背後にいる石井さんを振り返ると、リラックスした優しい顔で私と猫のシロの事を見下ろしていた。
冷たくて意地悪な彼らしくない一面。
会社の女の子達がこんな石井さんを見たら驚くだろうな。
そんな事を考える反面、この彼の表情を誰にも見せたくないなんて、馬鹿げたことを思ってしまう。
そんな事を願ったって、この表情が私だけのものになる事なんてないのに。
「猫飼ってんの?」
「え?」
「なんか、やけに懐かれてるから」