罪深く、私を奪って。
なんでシステム管理者でもない永瀬さんが、社内メールのログを覗けたんだろう。
そんな疑問が湧いたけれど、きっと曲者の永瀬さんなら曖昧に笑ってごまかされるだろうと諦めて黙って頷く。
「だから犯人は詩織ちゃんにその事を言ったヤツだろうなぁと思ってはいたんだけどさ、こんな悪質なストーカーみたいな事までしてるから、現場を押さえなきゃ意味ないだろうって。さっき石井から電話あってこっそり張ってたの」
さっき、石井さんの部屋を出る前に電話をしていた相手は、永瀬さんだったんだ。
そして、私に嫌がらせをした犯人は。
今、目の前にいる沼田さんだったんだ……。
眼鏡をかけた真面目そうな顔の沼田さんが、永瀬さんの言葉に顔を歪ませた。
「悪質なストーカーなんて、失礼だな!」
「十分悪質じゃん。自覚ないの?」
呆れたような永瀬さんを、沼田さんは指で眼鏡を押し上げながら睨んだ。
「別に僕はストーカーなんかじゃない! ただ野村さんと一度ちゃんと話をしたくて、そのきっかけが欲しかっただけで……」
「話すきっかけが欲しかったから、中傷メールが流れてるなんて作り話したのか?」
沼田さんの言葉を遮って、軽蔑するように石井さんが言った。
「くだらない」と低い声で吐き捨てる。
その言葉を聞いて、沼田さんの顔がカッ赤くなった。
< 127 / 193 >

この作品をシェア

pagetop