罪深く、私を奪って。
「どうせお前たちにはわからないよ! わかってもらおうとも思わない! でも、悪いのは僕じゃない。そっちじゃないか!!」
まっすぐに私を指さして、沼田さんはそう叫んだ。
私が、悪い……。
まっすぐに向けられた悪意に、ビクリと体を震わせると、永瀬さんが心配したように肩に手を回し私の体を支えてくれた。
「どうせ野村さんは、僕みたいに地味で根暗な男なんて紙クズぐらいにしか思ってないんでしょう?」
「そんな事……」
「僕が食事に誘ったって、いつも適当に流して。迷惑ならはっきり断ってくれればいいのに。裏では笑ってたんでしょう? 僕みたいな冴えない男が野村さんみたいな美人を食事に誘うなんて、身の程知らずだってバカにしてたんでしょう?」
そう言った沼田さんの手は、きつく握られ小刻みに震えていた。
「そんな事、ないです……」
「じゃあ、これは何なんだよ」
沼田さんはそう叫ぶと、私に向かって何かを投げつけた。
私の隣にいた石井さんが、咄嗟に手を伸ばし飛んできたものを受け止めた。
驚いて石井さんの手の中を見ると、くしゃくしゃになった紙切れ。
この紙切れは、なにかのメモ……?
「ほら、僕の事なんて紙クズ程度にしか思ってないから、それがなにかも分からないんだよ」
震える手で石井さんの手からそれを受け取り、くしゃくしゃになったメモを開くと、中には携帯電話の番号とメールアドレスが書いてあった。
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