罪深く、私を奪って。
「それから自然と野村さんの事を目で追う様になりました。入社式で野村さんの姿をみつけた時は嬉しかったな。会社で受付の前を通るのも、毎日の楽しみだった。野村さんの笑顔を見れると思うと、会社に行くのが楽しくなった」
ただ濡らしたハンカチを貸してあげただけなのに。
沼田さんは2年も前から、私の事をそんな風に思ってくれてたんだ……。
「野村さんって、いつも受付で笑顔ですよね」
「……はい」
受付に座る仕事なんだから、それが当然なんだけど。
そう思いながら頷くと、
「他の受付の女の人って、微妙に笑顔が違うんですよ。カッコイイ男の人とそうじゃない人。偉い人と新人さん。無意識なんだろうけど、表情が違う。でも野村さんって、みんなに平等に優しい笑顔をするんですよね」
沼田さんは眼鏡を中指で押し上げながら、照れくさそうに話を続けた。
「きっと野村さんは、仕事だから笑ってるんじゃなくて、みんなに気持ちよく仕事をしてほしいからひとりひとりに笑いかけてるんだなって気づいたんですよ。偉い人にも、出入りする業者の人にも、清掃のおばさんにも。いつも周りに気を使ってるんだって気付いたんです。入社試験で具合が悪くなった間抜けなライバルにまで優しくハンカチを差し出してくれるくらい、周りに気を使ってくれる優しい人なんだろうなって。そう思ったらいつの間にか野村さんの事が好きになってました」
ただ濡らしたハンカチを貸してあげただけなのに。
沼田さんは2年も前から、私の事をそんな風に思ってくれてたんだ……。
「野村さんって、いつも受付で笑顔ですよね」
「……はい」
受付に座る仕事なんだから、それが当然なんだけど。
そう思いながら頷くと、
「他の受付の女の人って、微妙に笑顔が違うんですよ。カッコイイ男の人とそうじゃない人。偉い人と新人さん。無意識なんだろうけど、表情が違う。でも野村さんって、みんなに平等に優しい笑顔をするんですよね」
沼田さんは眼鏡を中指で押し上げながら、照れくさそうに話を続けた。
「きっと野村さんは、仕事だから笑ってるんじゃなくて、みんなに気持ちよく仕事をしてほしいからひとりひとりに笑いかけてるんだなって気づいたんですよ。偉い人にも、出入りする業者の人にも、清掃のおばさんにも。いつも周りに気を使ってるんだって気付いたんです。入社試験で具合が悪くなった間抜けなライバルにまで優しくハンカチを差し出してくれるくらい、周りに気を使ってくれる優しい人なんだろうなって。そう思ったらいつの間にか野村さんの事が好きになってました」