罪深く、私を奪って。
「いや、やっぱりやめます。せっかくスッキリ振られたのに、和歌山に行ってまで連絡をとってたいら、きっと僕は野村さんを忘れられないから」
きっぱりとそう言って笑った。
「じゃあ、お店で買います。和歌山県産のミカン。それが沼田さんのおうちで作ったものかもしれないから」
「そうしてください」
二人でエレベーターに乗り込み、ボタンを押す。
閉まっていくエレベーターのドアを見ながら沼田さんが静かに言った。
「僕の好きだった人が、遠く離れたこの街のどこかのお店で、僕の作ったミカンを買ってくれるかもしれない。そう思ったら、毎日頑張れる気がします。ひとつひとつのミカンに想いを込めて大切に作れる気がします。野村さんが受付で、ひとりひとりに気を使いながら笑いかけてたみたいに」
「だから、沼田さんは私を美化しすぎですってば」
私はとてもそんな風に思ってもらえる人間じゃない。
だけど、そう言ってもらえると、今日も仕事頑張ろうって気分になれるから不思議だ。
「じゃあ、お引越し準備頑張ってくださいね」
「はい。野村さんも、玉砕覚悟で告白頑張ってください」
別れ際、さらりと嫌味まじりに釘を刺された。
この前よりずっとすっきりした沼田さんの表情。
もし私も自分の想いを石井さんにぶつけることができたら、その想いが叶わなかったとしても、あんなに清々しく笑えるんだろうか。
きっぱりとそう言って笑った。
「じゃあ、お店で買います。和歌山県産のミカン。それが沼田さんのおうちで作ったものかもしれないから」
「そうしてください」
二人でエレベーターに乗り込み、ボタンを押す。
閉まっていくエレベーターのドアを見ながら沼田さんが静かに言った。
「僕の好きだった人が、遠く離れたこの街のどこかのお店で、僕の作ったミカンを買ってくれるかもしれない。そう思ったら、毎日頑張れる気がします。ひとつひとつのミカンに想いを込めて大切に作れる気がします。野村さんが受付で、ひとりひとりに気を使いながら笑いかけてたみたいに」
「だから、沼田さんは私を美化しすぎですってば」
私はとてもそんな風に思ってもらえる人間じゃない。
だけど、そう言ってもらえると、今日も仕事頑張ろうって気分になれるから不思議だ。
「じゃあ、お引越し準備頑張ってくださいね」
「はい。野村さんも、玉砕覚悟で告白頑張ってください」
別れ際、さらりと嫌味まじりに釘を刺された。
この前よりずっとすっきりした沼田さんの表情。
もし私も自分の想いを石井さんにぶつけることができたら、その想いが叶わなかったとしても、あんなに清々しく笑えるんだろうか。