罪深く、私を奪って。
そう思いながらも、昨日鏡に写った自分の首筋にこの赤い痣を見つけた時、
石井さんの唇の感触を思い出して一瞬嬉しく感じてしまった自分は、どこまでも哀れで侘しい女だと思う。
不思議そうに私の顔を見るお母さんの視線から、逃げるように歩き出した時、
「あ! 詩織だ!」
天井の高いホテルのロビーに、明るい声が響いた。
この声は……。
咄嗟に自分の首筋を隠すように手で覆った。
その手は緊張と動揺でじっとりと汗ばんでいた。
「亜紀さん……」
振り返ると、そこには艶やかな赤い着物を着た亜紀さんが、ご両親と一緒に歩いてくる所だった。
「詩織偶然だねー。私これから結納なの。苦しいからイヤだって言ってるのに、無理やり振袖着せられちゃってさぁ」
着物の袖を邪魔くさそうにぶんぶんと振り回しながら、私に向かって笑う亜紀さん。
黒い髪をキリッと一つにまとめて鮮やかな赤い着物を着た亜紀さんはとても綺麗だった。
「亜紀さん、すごく綺麗です……。このホテルで結納なんですね」
なんて偶然なんだろう。
こんな時に会ってしまうなんて。
きっと神様が諦めの悪い私に、いい加減現実を受け止めろと言ってるんだろう。
「あら、結納なんですね。おめでとうございます。詩織のお友達?」
「そう。会社でいつも仲良くしてくれてる先輩の亜紀さん」
おめでたい事が大好きで結納という言葉に目を輝かせるお母さんに、亜紀さんを紹介する。
石井さんの唇の感触を思い出して一瞬嬉しく感じてしまった自分は、どこまでも哀れで侘しい女だと思う。
不思議そうに私の顔を見るお母さんの視線から、逃げるように歩き出した時、
「あ! 詩織だ!」
天井の高いホテルのロビーに、明るい声が響いた。
この声は……。
咄嗟に自分の首筋を隠すように手で覆った。
その手は緊張と動揺でじっとりと汗ばんでいた。
「亜紀さん……」
振り返ると、そこには艶やかな赤い着物を着た亜紀さんが、ご両親と一緒に歩いてくる所だった。
「詩織偶然だねー。私これから結納なの。苦しいからイヤだって言ってるのに、無理やり振袖着せられちゃってさぁ」
着物の袖を邪魔くさそうにぶんぶんと振り回しながら、私に向かって笑う亜紀さん。
黒い髪をキリッと一つにまとめて鮮やかな赤い着物を着た亜紀さんはとても綺麗だった。
「亜紀さん、すごく綺麗です……。このホテルで結納なんですね」
なんて偶然なんだろう。
こんな時に会ってしまうなんて。
きっと神様が諦めの悪い私に、いい加減現実を受け止めろと言ってるんだろう。
「あら、結納なんですね。おめでとうございます。詩織のお友達?」
「そう。会社でいつも仲良くしてくれてる先輩の亜紀さん」
おめでたい事が大好きで結納という言葉に目を輝かせるお母さんに、亜紀さんを紹介する。