罪深く、私を奪って。
当然のように出されたその名前に、まったく心当たりが無くて、自分の記憶力の悪さに呆れてしまう。
「あ、わかんない? 大きい会社だから顔合わせたりしないのか」
「……うーん」
会社の大小に関わらず、その人の存在自体に覚えがないんだけど。
そう思っていると、竹本くんはホテルの中庭が見える通路で足を止めた。
「座ろうか」
その通路に置いてあったソファーに腰を下ろした彼にならって私もその隣に座る。
「久しぶりに会ったけど野村さんってさ、俺の事苦手でしょ?」
「え? そんな事……」
正直得意ではないけど、本人に向かって「あなたの事が苦手です」なんて言えるわけがない。
そういうのを分かっていながら、はっきり聞いてくる竹本くんの正直さが苦手なんだ。
「小学校の頃からなんとなく避けられてるなぁとは思ってたんだけど」
「いや、避けてはいないと思う……」
どちらかと言うと怖かったんだ。
彼のまっすぐな言いようは、いつも優柔不断な私を困惑させるから。
通路のソファーに座ると、中庭に植えられた山紅葉が綺麗に見えた。
さっき見た、亜紀さんの着物の赤みたいに、鮮やかに色付いてる。
今頃、亜紀さんと石井さんは結納の最中だろうな。
そんな事を思うと、少しだけ鼻の奥がつんとした。
「どうかした?」
黙り込んだ私に、竹本くんが不思議そうに聞いてきた。
「ごめん。なんでもないの」
「あ、わかんない? 大きい会社だから顔合わせたりしないのか」
「……うーん」
会社の大小に関わらず、その人の存在自体に覚えがないんだけど。
そう思っていると、竹本くんはホテルの中庭が見える通路で足を止めた。
「座ろうか」
その通路に置いてあったソファーに腰を下ろした彼にならって私もその隣に座る。
「久しぶりに会ったけど野村さんってさ、俺の事苦手でしょ?」
「え? そんな事……」
正直得意ではないけど、本人に向かって「あなたの事が苦手です」なんて言えるわけがない。
そういうのを分かっていながら、はっきり聞いてくる竹本くんの正直さが苦手なんだ。
「小学校の頃からなんとなく避けられてるなぁとは思ってたんだけど」
「いや、避けてはいないと思う……」
どちらかと言うと怖かったんだ。
彼のまっすぐな言いようは、いつも優柔不断な私を困惑させるから。
通路のソファーに座ると、中庭に植えられた山紅葉が綺麗に見えた。
さっき見た、亜紀さんの着物の赤みたいに、鮮やかに色付いてる。
今頃、亜紀さんと石井さんは結納の最中だろうな。
そんな事を思うと、少しだけ鼻の奥がつんとした。
「どうかした?」
黙り込んだ私に、竹本くんが不思議そうに聞いてきた。
「ごめん。なんでもないの」