罪深く、私を奪って。
この期に及んでまだ石井さんの事を考えるなんて、諦めが悪すぎる。
それに一緒にいる竹本くんにも失礼だ。
慌てて笑顔を作って竹本くんに顔を向けた。
「そういえば、私に謝りたい事あるって聞いたんだけど……」
「ああ! そうだった」
彼はすっかり忘れていたというようにぽんと膝を叩くと、体ごとこちらを向いて、ソファーの隣に座る私と向いあった。
「小学校の時からずっと謝ろうと思ってたんだけどさ、野村さん6年の時女子から苛められてたでしょ?」
「え……?」
『女子から苛められてたでしょ』
確かに、クラスの女の子たちから無視されてた。
でも、人からそうハッキリ言われるとは思ってなくて、思わず言葉に詰まった。
「ごめんね。あれ、俺のせいなんだ」
そう言うと、罪を告白してすっきりしたように竹本くんは笑った。
「え?」
ごめんねって。俺のせいって。
どういう意味?
ひとりですっきりされても、私には何が何だかまったく分からなくて、混乱する一方だ。
「俺が余計な事言ったから、野村さん女子たちに無視されちゃったんだよね。ごめんね」
「……どういう、事?」
「悪気があったわけじゃなくて。いやちょっとだけ悪気はあったか。あの頃、野村さんの事好きだったからわざとあんなことを言った。二人の邪魔をしてやろうと思って。でも、それで野村さんが苛められるなんて思ってなかったんだ」
いや、だから。
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