罪深く、私を奪って。
頭の中にぐるぐるとストッキングを破られるシーンと、脱がされるシーンが浮かんでは消える。
どっちもイヤです! 絶対に!!
想像しただけで、恥ずかしくて心臓が止まりそうなのに。
「じゃあ、普通に脱がすけど」
いつまでも答えを出さない私に、石井さんが勝手に選択肢を選んでしまう。
せっかちな彼は最初から私の答えなんて待ってなかったらしい。
「きゃ、ちょっと待って!」
平然と私の足から破れたストッキングを引き抜くその器用な指。
ちょっと慣れすぎじゃないかと一瞬むっとして、彼の手を掴んで阻止しようとすると、
「そういえば、あの時の子猫がどうなったか覚えてる?」
石井さんが私を試すように、意地悪な表情でそう言った。
「え? あの時の子猫って……」
小学校6年生の時に私が抱いて家出をした、あの小さな灰色の子猫の事?
その質問に、ついさっきまで私の足先に爪をたてていたシロの事を思いだす。
「え、もしかして……?」
「そう」
私が油断した隙に、するりと足からストッキングを抜き取った彼が、それを床に捨てながら小さく笑った。
うそ……!
冬の寒い夜に、私の胸の中で小さく震えていた灰色の子猫。
あの子猫が、石井さんが飼っているシロだなんて……。
「本当に? そんなに猫って長生きするんですか?」
だってあれはもう10年以上前の出来事なのに。
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