罪深く、私を奪って。
魚介のスープも美味しそうだし、ムール貝も食べてみたいなぁ。
あ、でもそれじゃあ野菜と魚介ばっかりになっちゃう。
もっとおつまみっぽいのを頼んだ方がいいかな。
石井さんはメニューも見ないで頬杖ついてるけど、何を食べたいんだろう。
何か言ってくれればいいのに。
石井さんがメニューすら見てないって事は、全部私に任せるって事なのかな。
どうしよう、すごく迷う。
どれも美味しそうだし……。
困ってメニューから顔を上げると、店員さんが伝票を手に持ちながら笑顔で注文を待っていた。
うわー、店員さんを待たせてるのにぜんぜん決められない!
きっと今は忙しい時間帯なのに。
嫌な顔しないで待ってくれてるけど、こんなに迷ってたら迷惑だよね。
まだ決まってませんって言った方がいいのかな。
でもまた来てもらうのも迷惑なのかな……。
どうしよう。
どうしよう……
「お前、ほんとに優柔不断だな」
バカにしたように言いながらビールを飲む石井さんに、私は不貞腐れて軽く唇を噛む。
悔しいけど、何にも言い返せない……。
結局、メニューを覗き込んだまま迷って決められない私をよそに、石井さんは慣れた様子で私の横からメニューを指差し野菜や魚介、肉類も味付けもバランスよく何品か注文した。
運ばれてきた料理はどれも美味しくて、それもまた悔しかった。
私があんなに迷っていたのに。
なんの迷いもなくスマートに注文する彼。
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