罪深く、私を奪って。
料理の注文すらできないなんて、なんか自分がバカみたいだ。

「小さい頃からずっと優柔不断だったわけ?」
呆れたようにそう言った石井さんを睨みながら、ワインに口をつけた。
「悪いですか?」
素直に頷くのが悔しくて、強気な態度で返事をしてみる。
ワインのアルコールも手伝って、ちょっと開き直った気分だった。
「なんか想像できるな。人の顔色ばっか伺って、何も考えずに周りの言う通りに生きてきたんだろ」
「…………」
彼の言葉に、思わず息が詰まりそうになった。
口に含んだワインをムリヤリ飲み込むと、一気に喉に流れ込んだアルコールのせいか、少し目頭が熱くなった。
そんな事ない、って。
バカにしないで、って。
言い返したかったけど言葉にできなかった。
高校も、大学も、親や先生の言うままに決めた。
就職だって父親に紹介された会社にただ入っただけ。
そこに私の意思はなかった。
本当に優柔不断で、中身のない女。
それを自分でも自覚してるから、彼にハッキリとそう言われて、悔しいのに反論のひとつもできなかった。
微かに潤んだ瞳を気づかれたくなくて、私は彼から顔を反らしながら
「亜紀さん遅いですね」
と強引に話題を変えた。
「亜紀?」
「もうこんな時間なのに。まだ残業なのかな」
テーブルに並ぶ料理はもうほとんど食べちゃったのに、まだ連絡こないなんて相当忙しいのかな。
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