罪深く、私を奪って。
「なんか詩織ちゃん雰囲気変わったなぁと思って。なんだろう、アイシャドウ?」
「な、なにも変えてませんよ!」
首を傾げながら顔を近づけてじっくりと私の顔を観察する永瀬さんに、思わず両手で顔を覆った。
そんな風にまじまじと顔を観察されると恥ずかしいんですけど!
「永瀬近いって! 詩織いやがってんじゃん」
よっぽど私が困ってるように見えたのか、亜紀さんはペシンッ!と大きく音をたてて永瀬さんの後頭部を叩いた。
「え? 詩織ちゃんイヤだった?」
叩かれた後頭部をさすりながら、きょとんとした顔で私を見上げる永瀬さん。
イヤというか。
普通こんな至近距離で顔をじっくり凝視されたら、誰でも恥ずかしくなると思うんですが。
「男のクセに女のメイクの違いとか、いちいち気付いて口出すのってイヤだよねぇ?」
顔をじっくり見られるのが恥ずかしかっただけで、別にメイクについて言われるのは、そんなにイヤってわけじゃないんだけど。
私は亜紀さんの言葉に曖昧に首を傾げた。
その態度を肯定と受け止めた亜紀さんが、勝ち誇ったように永瀬さんの頭をもう一度叩く。
「ほら。永瀬のそういう軽いとこ、女から見たら面倒くさいんだってば」
「うわ、面倒くさいとか言われると本気で落ち込むんだけど」
ガックリと肩を落とした永瀬さんを見て、嬉しそうに高笑いをする亜紀さん。
本当に仲がいいなぁ。
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