罪深く、私を奪って。
そのため息と一緒に、心の中の憂鬱も吐き出されればいいのに。
でも、そんなため息くらいじゃ少しも気持ちは軽くならなくて、また小さなため息が出た。
「よく見てますね」
そんな事ないですって言ったって、きっと永瀬さんは誤魔化せない。
諦めて私は小さく頷いた。
「でしょう? 俺、社内の可愛い女の子の事は毎日チェックしてるんだよね。落ち込んでる時に優しく励まして、口説くチャンスを狙ってるんだ。ほら、女の子は弱ってる時に口説くのが一番効率的だから」
にっこりと歯を見せて笑う永瀬さん。
その爽やかな笑顔で、さらりと最低な事を言ってるんだけど。
はぁー。と思わず額を押さえてしまう。
男の人って、なんていうか……。
「あ、最低とか思った?」
私の思考を先回りして、悪びれもせず笑う。
「俺でよかったら話聞くよ。こんなとこで缶ジュース飲みながら悩み相談なんて色気ないし、これから二人で飯でも行こうか」
「え?」
「大丈夫。俺車で来てるから、帰りもちゃんと送るし」
「あの」
「なんだったら、俺の家に来る? 一回詩織ちゃんの家に寄って着替えとか持って来たらいいよ」
「いや」
「いっそ詩織ちゃんちでもいいか」
「あ、あの……」
「もちろん泊めてくれるんでしょ? 明日休みだしね」
「泊め……ッ!?」
「大丈夫、大丈夫。変な事なんてしないから」
どんどん進んでいく会話。
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