罪深く、私を奪って。
なにも信用できない気がして。
しゃがみ込んだ自分の膝に顔を埋め、涙が流れないように歯を食いしばった。
チン、と音がしてエレベーターが止まったのを感じた。
こんな誰が見てるかわからない所で、しゃがみ込んでいられない。
こんな所で泣いてるのを見られたら、なんて思われるかわからない。
しっかりしなきゃ……。
きゅっと唇を噛み、息を止めるようにして涙をこらえ立ち上がろうとした時、
「どうした!? 大丈夫か?」
頭上から焦ったような声が聞こえ、大きな手に強く肩を掴まれた。
「え……?」
驚いて顔を上げると、永瀬さんが真剣な顔で、エレベーター内でしゃがみ込む私の肩を抱いていた。
「あ、あの」
「どうしたの詩織ちゃん。具合悪いの? 医務室に連れて行こうか?」
そう言いながら、私の体を軽々と抱き上げる。
「ま、待って永瀬さん! 大丈夫ですから!!」
軽々と抱き上げられた腕の中、私は慌てて下ろしてくださいと叫んだ。
男の人に抱き上げられるなんて! しかも会社で!!
「大丈夫じゃないでしょ。顔真っ青だよ」
永瀬さんは私を腕に抱えたまま、エレベーターを出て歩き出そうとする。
ちょっと待ってよ!
永瀬さんに抱き上げられて医務室まで行くなんて。
それまでに誰に会うかわからないのに!
「永瀬さん! お願いだから下ろしてください! こんなところを誰かに見られたら、また変なメールが……」
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