罪深く、私を奪って。
そう言って助手席の扉を開けてくれた永瀬さんの車は、タイヤが大きくて車高の高かった石井さんの車とは正反対の、地を這うようなスポーツカー。
屈みながら助手席に乗ると、内装も普通の車とはぜんぜん違っていて、体を包み込むようなスポーツシートにため息が出た。
「永瀬さんってこういう車に乗ってたんですね。私スポーツカーって初めて乗りました」
「俺がこういうの乗るのって意外? 古いし、荷物乗らないし、狭いし、不便ばっかりなんだけどね。ロータリーエンジンが好きでさ」
「へぇ……?」
よく意味が分からないまま、なんとなく頷くと、運転席で永瀬さんが笑った。
「この車、女の子ウケがよくないのが致命的なんだよなー」
そう言ってキーを差し込みエンジンをかける。
足元から伝わる心地好い振動とモーター音。
走りだしたその車は地面が近いせいか、ものすごいスピード感で、思わずシートベルトをぎゅっと握った。
「そんなに怖がらなくても大丈夫だよ。俺、女の子乗せてる時は安全運転だから」
じゃあ、乗せてない時は?
なんて聞くまでもなく、こんな車乗ってるんだから、スピード出すのは好きなんだろうな。
シフトチェンジする永瀬さんの左手を見ながらぼんやりとしていると、赤信号で止まった途端、目の前に紙袋を突き出された。
「え?」
なんだろう、この紙袋。
突然の事に驚いて運転席の永瀬さんを見ると、
「プレゼント」
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