罪深く、私を奪って。
「でもじゃなくて、ありがとうでしょ」
「……?」
「こういう時は、にっこり笑ってありがとうって言えばいいんだよ」
「ありがとう、ですか……」
そうは言われても、この膝の上のミュールを本当に私が貰っていいのか未だに迷っていた。
「本当に損な性格だね」
くすりと笑う永瀬さんは、ポケットから煙草を取り出しながら、運転席の窓を少しだけ開ける。
「あ、煙草大丈夫?」
私が頷くのを確認すると、慣れた手つきで火をつけた。
薄く開いた窓の隙間へと流されていく白い煙。
ハンドルを握る右手。シフトレバーを操作する左手。
そして煙草を吸い、私と会話もする永瀬さん。
「なんだか忙しそうですね」
運転できない私から見たら、その様子はまるで神業だ。
「忙しいよ。運転もしなきゃならないし、煙草も吸いたいし、助手席の女の子も口説きたいし」
「欲張りですね」
永瀬さんのいつもの冗談に、少し呆れながらそう言うと、
「欲張りだよ」
運転席の彼が笑った。
「詩織ちゃんも俺くらい欲張っていいんだよ」
「…………」
そんなの無理な話だ。
私はそんな風に欲張りになんてなれない。
永瀬さんのように笑顔で、欲しい物を欲しいと、やりたい事をやりたいと、素直に言える性格だったらどんなにいいだろう。
でも、きっと世の中には、欲張ってもいい人と、欲張ってはいけない人がいるんだ。
私はどう考えても、欲張ってはいけない側の人間。
「……?」
「こういう時は、にっこり笑ってありがとうって言えばいいんだよ」
「ありがとう、ですか……」
そうは言われても、この膝の上のミュールを本当に私が貰っていいのか未だに迷っていた。
「本当に損な性格だね」
くすりと笑う永瀬さんは、ポケットから煙草を取り出しながら、運転席の窓を少しだけ開ける。
「あ、煙草大丈夫?」
私が頷くのを確認すると、慣れた手つきで火をつけた。
薄く開いた窓の隙間へと流されていく白い煙。
ハンドルを握る右手。シフトレバーを操作する左手。
そして煙草を吸い、私と会話もする永瀬さん。
「なんだか忙しそうですね」
運転できない私から見たら、その様子はまるで神業だ。
「忙しいよ。運転もしなきゃならないし、煙草も吸いたいし、助手席の女の子も口説きたいし」
「欲張りですね」
永瀬さんのいつもの冗談に、少し呆れながらそう言うと、
「欲張りだよ」
運転席の彼が笑った。
「詩織ちゃんも俺くらい欲張っていいんだよ」
「…………」
そんなの無理な話だ。
私はそんな風に欲張りになんてなれない。
永瀬さんのように笑顔で、欲しい物を欲しいと、やりたい事をやりたいと、素直に言える性格だったらどんなにいいだろう。
でも、きっと世の中には、欲張ってもいい人と、欲張ってはいけない人がいるんだ。
私はどう考えても、欲張ってはいけない側の人間。