罪深く、私を奪って。
怖い事言わないでよ。
何もあるはずなんてないのに……。
いつもこの部屋で一人で暮らしているのに、それがあたりまえなのに。
そんな事言われたら、急に心細くなるじゃない。
俯いて画面に並んだ数字をただ眺めていた私に、
「何時でもかまわないから、少しでも何かあったら電話してこいよ」
念を押すようにそう言う。
その真剣な瞳に目を反らして頷いた。
石井さんは、私が頷いたのを確認すると、
「じゃあ」
と言って、ドアの取っ手に手を伸ばした。
外へ出ていく瞬間、彼の手が私の頭に触れた。
ポン、と頭に優しく触れた石井さんの手のひら。
それがとても暖かくて、思わず引き止めたくなった。
不安だから、一人にしないで。
もう少し、ここにいてください……。
そう言って、彼の腕を掴みたい衝動にかられたけれど、手を伸ばすよりも早く、彼の姿はドアの向こうへと消えた。
バタン、とドアが閉まる音で我に返った。
石井さんともっと一緒にいたいと思うなんて。
どうかしてる。
一瞬でもそう思ってしまった自分が信じられなかった。
何か作って食べる気分にもなれず、かといって早く寝る気にもなれず。
私は部屋にひとり、ベッドの上で膝を抱えて古い映画をぼんやりと見ていた。
陽気で難解なフランス映画。
テレビ画面の中で、短いマッシュルームカットの女の子がパリの街角を騒動を起こしながら駆け抜ける。
何もあるはずなんてないのに……。
いつもこの部屋で一人で暮らしているのに、それがあたりまえなのに。
そんな事言われたら、急に心細くなるじゃない。
俯いて画面に並んだ数字をただ眺めていた私に、
「何時でもかまわないから、少しでも何かあったら電話してこいよ」
念を押すようにそう言う。
その真剣な瞳に目を反らして頷いた。
石井さんは、私が頷いたのを確認すると、
「じゃあ」
と言って、ドアの取っ手に手を伸ばした。
外へ出ていく瞬間、彼の手が私の頭に触れた。
ポン、と頭に優しく触れた石井さんの手のひら。
それがとても暖かくて、思わず引き止めたくなった。
不安だから、一人にしないで。
もう少し、ここにいてください……。
そう言って、彼の腕を掴みたい衝動にかられたけれど、手を伸ばすよりも早く、彼の姿はドアの向こうへと消えた。
バタン、とドアが閉まる音で我に返った。
石井さんともっと一緒にいたいと思うなんて。
どうかしてる。
一瞬でもそう思ってしまった自分が信じられなかった。
何か作って食べる気分にもなれず、かといって早く寝る気にもなれず。
私は部屋にひとり、ベッドの上で膝を抱えて古い映画をぼんやりと見ていた。
陽気で難解なフランス映画。
テレビ画面の中で、短いマッシュルームカットの女の子がパリの街角を騒動を起こしながら駆け抜ける。