地球最後の日

そこに、理沙の姿はなかった。



もう、会えない…。




この際、手紙なんてどうでもいい。


ただ、理沙。あなたに会いたいの。会いたいだけなの。



涙があふれてきて視界がぼやける。


なんだか外が騒がしい。

みんな混乱してるのかな。

そりゃそうか。



なにもかも、もう終わりなのかな。


理沙…。


気がつけば道路は人の波が押し寄せていて、それにのまれるようにもみくちゃにされていた。

人々が泣き叫ぶ声であふれかえる。

そんな騒音すら私の耳は受けつけなかった。


人混みから抜け出した先に一人のうずくまってる女の子がいた。


私はその女の子に見覚えがあった。




「り、さ…?」




弾かれたようにパッと上がった顔は私のよく知る人で。

彼女は大きく目を見開いたまま固まった。

多分私もそう。



「み、ゆう?ほ、本物…?」


やっと口を開けた彼女は震える声で私の名前を呼ぶ。

そして小刻みに震えている指先が私の頬に触れた。


「本物、だよ」


「やっと、あ、会えたぁ…っ」


ピンと張った糸がほぐれるように、お互いの瞳から涙があふれ出した。


もう、本当に会えないのかと思った。

怖かった。


でも、今、私の目の前に理沙がいて、理沙の目の前に私がいる。

それがどんなに嬉しいことか。どんなに素晴らしいことか。
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