エリート外科医の蕩ける治療
杏子に本当のことを伝えたら、杏子はどう思うだろう。せっかく克服したトラウマに、新たなトラウマを植え付けてしまうだろうか。
俺のことは幻滅されるにしても、杏子が傷つかない方法は何かあるのか。それともこのまま一生、この話は秘密にしておくべきか。
だが俺の過去を知っているマリエが近くにいる。すでに杏子に何か吹き込んでいるくらいだから、いつかバレる日が来てもおかしくはない。
『やっぱり一真さん病気?』
やっぱりって、何だ。そういえば、物産展に行ったときも病気かと聞かれたんだったか。それなら杏子はもうずいぶん前から、俺のことを疑っていたということになる。マリエが来る前から……。
そうやって、ずっと杏子のことを考えていた。
帰る前にスマホを確認すると、『仕事終わったら連絡ください』と杏子からメッセージが入っていた。メッセージ受信の時刻はずいぶん前だ。連絡をするべきか迷ったが、ここで連絡をしなかったら杏子との繋がりが切れてしまうような気がした。憂鬱な気分で杏子に電話をかけると、控えめな声が耳に届く。
『も、もしもし』
「仕事終わった」
『お疲れ様です。あの。今からお家行ってもいいですか?』
「……いいよ」
電話を切って、大きく息を吐く。
覚悟を決めるべきだろうか。
外は寒く息が白い。
俺の鬱々な気持ちとは裏腹に、藍色の空にはキラキラと星が煌めいている。何を話そうかとグルグル考えているうちに、あっという間に自宅へついてしまった。
俺のことは幻滅されるにしても、杏子が傷つかない方法は何かあるのか。それともこのまま一生、この話は秘密にしておくべきか。
だが俺の過去を知っているマリエが近くにいる。すでに杏子に何か吹き込んでいるくらいだから、いつかバレる日が来てもおかしくはない。
『やっぱり一真さん病気?』
やっぱりって、何だ。そういえば、物産展に行ったときも病気かと聞かれたんだったか。それなら杏子はもうずいぶん前から、俺のことを疑っていたということになる。マリエが来る前から……。
そうやって、ずっと杏子のことを考えていた。
帰る前にスマホを確認すると、『仕事終わったら連絡ください』と杏子からメッセージが入っていた。メッセージ受信の時刻はずいぶん前だ。連絡をするべきか迷ったが、ここで連絡をしなかったら杏子との繋がりが切れてしまうような気がした。憂鬱な気分で杏子に電話をかけると、控えめな声が耳に届く。
『も、もしもし』
「仕事終わった」
『お疲れ様です。あの。今からお家行ってもいいですか?』
「……いいよ」
電話を切って、大きく息を吐く。
覚悟を決めるべきだろうか。
外は寒く息が白い。
俺の鬱々な気持ちとは裏腹に、藍色の空にはキラキラと星が煌めいている。何を話そうかとグルグル考えているうちに、あっという間に自宅へついてしまった。