隠れる夜の月

 ある日の、社内での昼食時。その日は外回りへの同行をせず、事務としての業務に精を出していた。少し遅くなった昼食を自席で摂っていると、拓己が外から戻ってきた。

「ただいま。お疲れさん」
「お疲れ様です! お昼食べました?」
「弁当買ってきた。なんか連絡あったかな」

 顧客からのメールが数件来ていたのを告げ、内容確認をしながら食事を進めていると、後から食べ始めた拓己の方が先に「ごちそうさま」と手を合わせる。

「先輩、いつも早いですね。早食いはお腹すぐ空いちゃいますよ」
「癖なんだよなあ、忙しいからつい」

 と言いながら、三花がデスクに広げている弁当を覗き込んできた。

「それ、自分で作ってんの」
「はい。今は一人暮らしなので」
「ふうん。偉いな」
「いえそんな」

 なおも拓己が覗いてくるので、何か気になるのだろうかと思って「ひょっとして好きなおかずとかあります?」と尋ねた。

「あっ悪い。実は唐揚げめっちゃ好きでさ。美味そうだなって」

 その言い方が本当に好きそうだったので、三花は思わず尋ねていた。

「じゃあおひとついかがです?」
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