隠れる夜の月

「あっ、あ、あぁんっ」
「三花、すごく可愛い……いっぱい締めてる。もっと感じて、俺を」
「あんっ、あ、そこ、やぁん、いいっ」

 息ができないほどの快感を与えられ続けて、何もまともには考えられない。自分が何を口走っているのかも、もう認識できなかった。
 またもや突然に、神経が追いつめられるような、爆発的な感覚が迫ってくる。

「いっ、あ、だめ、あぁぁ」
「いきそう? 俺もいくから、一緒に――」

 拓己の律動が速くなる。強く抱きしめられながら、しがみつきながら、これ以上ないほどに彼を、外にも内にも感じて。

「あ、あ――――ああっ……!」
「……っ、く……う」

 体を突き抜ける衝撃に背を反らし、三花は達した。ほぼ同時に拓己が、堪えきれないように低くうめいて、欲望の熱を膜越しに放つ。

 しばらくは肩で息をしながら、抱き合ったままでいた。
 知らずこぼれていた涙を、拓己の唇に吸われる。そのままそれは、三花の唇に重なった。
 かすかにしょっぱい口づけはすぐに甘くなり、舌が絡まり合う。

 唇が離れても、顔と体は離れなかった。額と鼻先を触れさせながら、拓己が感慨をこめた響きで囁く。

「ありがとう、三花……すごくよかった」

 そう言われた途端、喉が詰まった。止まったばかりの涙が溢れてくる。
 優しく抱きしめられ、涙を拭われながらいつしか三花は、彼の腕の中で眠りに落ちた。
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