偽装婚約しませんか!?
「…………他人の口から言われると微妙な気分になるが。まあ、そういうことだ」
「帝国から婚約を断る防波堤としてのお役目はどんとこいですけれど、具体的にはどういう感じで攻めていきますか? 仲良しアピールが必要ですよね?」

 ヴィオラの問いに、ローレンスは頷いた。顎下に指を添えながら思案顔になる。

「ああ。どうせするなら、他者が入る隙がないぐらいのやつがいいな。お互いのことしか見えていない甘い雰囲気が出せれば、尚のこといい。プライドが高いセリーヌ皇女も袖にされ続ければ他の男を選ぶだろう。彼女の性格は知っている」
「ほうほう。仲がよろしいのですね」

 王族の交友関係までは把握していないため、友達から噂話を聞くようにふんふんと頷くと、ローレンスは眉を寄せて横を向いた。それから、げんなりとした声が続く。

「つきまとわれていた、の間違いだ」
「あら、そうなのですか? それは大変でしたね」
「…………。ヴィオラ嬢、先に伝えておく。安っぽい演技でセリーヌ皇女は騙せない。やるからには本気で事に当たらねばならない。できるか?」
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