偽装婚約しませんか!?
「はい。誠心誠意、努力いたします。今夜から寝る前に恋物語集を読むことを日課にします。ひとつずつ、恋人らしい振る舞い方を実践してみましょう」
「それはいいな。俺も読んでみよう。来週、オペラでも観に行くか? 演技の見本としてこれ以上にない教材になると思う」
「まあっ! よろしいのですか!? ぜひ行ってみたいです!」

 前のめりで顔を近づけると、ローレンスが焦ったように両手で座るように促す。

(……はっ! しまった。常識的な距離じゃないといけないんだった)

 前日に受けた注意を思い出し、しずしずと着席する。
 その様子をじとっとした目で見られ、ヴィオラは咳払いで誤魔化した。

「ごほん、失礼しました。セリーヌ皇女殿下がいらっしゃるまで、あまり時間の猶予がございません。短期決戦の構えで参りましょう。ひとまず恋人らしい振る舞いとして、呼び方から変えてみませんか? どうぞヴィオラと呼び捨てにしてください」
「なるほど。では、俺のこともローレンスと」
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