苦手な同僚が同担だった件について。


 *


「今の桂馬! ここ! ここが好き!」
「わかる! カッコいいよな!!」


 何度もすり切れる程観ているというのに、何度観ても同じところで興奮してしまうのは、もはやファンの性なのだろうか。


「桂馬の声ってキャラメルボイスっていうの? 甘めっていうか、好きなんだよな」
「わかる、激しく同意。なのにシャウトする時はちょっとハスキーになるのが好き!」
「わかる!」


 ノリノリのダンスナンバーで盛り上がって、キラキラのアイドルソングにキュンとして、切ないバラードにはしんみり聞き入って。
 どんな曲でも自分のものにして歌いこなして踊る彼らが世界一かっこいい。

 L.kightsのデビュー曲が流れた時は思わず涙がこみ上げてきそうになった。
 今でこそ順風満帆な二人だけど、実はデビューまでに相当苦労している。

 本来桂馬と香は別のグループに所属していた。そのグループでデビューを目指していたけど、メンバーが脱退や退所、あるメンバーは別のグループに引き抜かれて先にデビューした。
 まるで余りものように残った桂馬と香は、それでも腐らずにL.kightsを結成して二人で歩む道を選んでくれた。

 十代で華々しくデビューするアイドルもいる中、彼らは遅咲きだ。
 でもだからこそ積み上げたキャリアがあるし、苦しい時もファンと一緒に頑張ってくれた。二人で乗り越えてきた。

 そんな苦労があった中でやっと掴んだデビュー。でもそれは、彼らにとってはスタートでもある。


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