苦手な同僚が同担だった件について。
彼らの努力が花開き、ファンもたくさん増えて大きな舞台でライブツアーを行えるようにもなって――そう思うと涙が溢れてくる。
急に泣き出したらやばいかな、なんて思って横を見たら、ボロボロと静かに涙を流す竜矢くんがいた。
私はそっとハンカチを渡す。多分その時の私は目も鼻も赤かったと思う。
「っ、ありがと……」
「ふふっ、二人して同じところで泣いてる」
「どうしてもデビュー曲はダメなんだよね……色々こみ上げてきて」
「デビュー曲は、特別だもんね」
泣いて笑って興奮して、それは一人でもできることだけど、同じ気持ちを分かち合えるって本当に嬉しいことなんだなと改めて実感した。
あの日、私がブロマイドを落としていなかったらこんな日は訪れなかった。
竜矢くんを好きになることもなかったんだ。
「あのね、竜矢くん」
DVDを見終わり、お互い落ち着いて温かい紅茶を飲んでいる時に思い切って切り出した。
「前に元カレに声かけられたことあったじゃない? その、原宿で」
「え? ああ……」
竜矢くんはやや表情が曇ったような気がした。元恋人の話など面白くはないだろう。
でも、きちんと話しておきたいと思った。
「あの人、前の会社にいた時の取引先の専務だったの。仕事を通じて仲良くなって付き合うようになったんだけど……あの人、既婚者だった」
「え!?」
「全然知らなかったの。既婚者だとわかってたら絶対好きになってなかった。でも、その人と付き合ってたことが知られて、枕営業で仕事を取ったって噂されて……」