苦手な同僚が同担だった件について。
あの時のことを思い返すと今も手が震える。
竜矢くんは震える私の手を握りしめてくれた。
「無理に話さなくていいよ。真面目なかけるが不倫なんかしないってわかってるから」
「でも、ちゃんと話しておきたかった。それ以来人と接することが怖くて嫌になって、今の会社ではとことん他人と距離を取ろうと思った。私には桂馬がいてくれたらいい、本気でそう思ってたの」
「かける……」
「竜矢くんのこともすごく苦手だった」
「はっきり言うなぁ」
「だって、モテるしチャラいし馴れ馴れしいし……」
「ほんとにはっきり言うね!?」
「でも、全然違った。素顔は推しのことで一喜一憂する私と似てる人だったんだなって。あのブロマイドを落としてなかったら、ずっと知らないままだったよ」
あの時は本当に焦ったし、人生が終わったくらいに思った。
絶対知られたくないと思っていた人に知られたと思ったら、まさか同じファンだったなんて。
「会社でもずっと人と距離置いて過ごしていくつもりだったけど、やっぱりそれじゃダメなんだって思った。ヲタバレはしたくないけど、もう少し他人とも関わってみようかなって。これからは、飲み会にも……」
「それはダメ」
「え?」
即座に否定されるとは思わず、顔を上げた。
「飲み会はもう行かないで」
「え? なんで……?」
「みんなが気づくじゃん――かけるがかわいいって」