苦手な同僚が同担だった件について。
知らなかった……。
竜矢くんにそんな過去があったなんて。なんと声をかけていいかわからず、ただ黙って聞くことしかできなかった。
「その生き方が染みついてたからさ、人と付き合う時も無意識に嫌われないようにしようって思ってたんだよね。そういう振舞いがチャラく見られてたんだと思うし、元カノにも私のこと本当に好きかわからないって何度も言われた」
「そう、だったの……」
「俺なりに好きだったつもりだったんだけどなぁ。一番最近まで付き合ってた元カノには浮気されちゃったし」
「あの、ごめんなさい。私、竜矢くんを傷つけるようなこと……」
「あ、そんなことないよ。実際俺も本気で誰かを好きになったことなかったんだと思う。だから、かけるが初めて」
「え?」
私が、初めて……?
「誰かに取られたくないって思ったのも、誰にも触らせたくない、誰にもかけるのいいところを知られたくないって思ったのは――かけるが初めてだよ」
「……っ!」
再び体温が一気に上昇する。きっとりんごみたいな顔になっただろう私を見て、竜矢くんはそっと私の頬に触れる。
「やっぱりかわいい」
「や……っ」
「そういう顔、俺以外には絶対見せないでね」
「……っ」
見せるも何も、竜矢くんじゃないとこんな風にはならないのに。
竜矢くんの顔が近付く。それを察せない程バカじゃない私は、そっと目を閉じた。
唇が重なり合う。触れ合うだけの口付けだったけど、心臓が破裂するんじゃないかと思った。