苦手な同僚が同担だった件について。


 うっとりしながら彼を語る戸川さんは、どう見ても恋する乙女。
 彼のことしか見えていないようだ。

 社内で竜矢くんと付き合っていることは秘密にしている。
 戸川さんにももちろん言えないけど少し気になっていたので、新しい恋に夢中なことに安心した。


「でもあんなに忙しかったら飛鳥さん、彼女とも会えてないんだろうなぁ」


 その言葉にはドキッとした。


「飛鳥さんって彼女いるんですか?」
「いると思いますよー。前に好きな人いるって言ってたし」
「そうなんですか……」
「それに最近、飛鳥さんちょっと雰囲気変わったんですよね。だから好きな人と上手くいったんだなーって思ってました」


 鋭いな、戸川さん……。
 流石はよく見ているようだ。


「角田さんも変わりましたよね」
「そ、そうでしょうか……」
「前よりも雰囲気が柔らかくなりましたよ! 前は誰も寄せつけません〜ってサボテンみたいだったのに」


 サボテンという表現が戸川さんらしいけど、私はそんなにトゲトゲしていたということだろうか。


「……もう少し、周りの人と仲良くしてみようと思っただけです」
「えー! そうなんですか〜?」
「さあ、そろそろ仕事しましょうね」
「詳しく聞きたかったのに〜」


 強引に話を終わらせた感があるけれど、これでいい。
 戸川さんとのおしゃべりは意外と楽しいけれど、あまり夢中になるのもダメだ。
 竜矢くんが頑張っているのだから、私も頑張らないと。


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