苦手な同僚が同担だった件について。
竜矢くんはぽつりぽつりと昔のことを話してくれた。
「乃華っていうんだけど、前の会社にいた時仕事を通じて知り合ったんだ。上手くいってたと思ってたんだけど、浮気された。俺が誰にでも優しいから自分だけが特別じゃないって思ってたらしい。それが寂しくて勢いで別の男と……」
「そんなのひどい! 竜矢くんは彼女のこと大事に思ってたのに」
「でも、実際俺も本当に乃華を好きだったのか、自信ないんだ」
そう言った竜矢くんの横顔はとても哀しそうだった。
「前にも話したけど、俺は八方美人なところがあるから。人と接する時、無意識にどうすれば良く見えるかなって考えてしまう。乃華に対してもそう、良い彼氏でいようとする気持ちの方が先行してた気がするんだ」
「竜矢くん……」
「こうすれば乃華が喜ぶかな、とか考えてばかりいた気がするし、思えば直接好きって言ったかどうかも覚えてない。付き合い始めたのもなんか自然とそうなってた感じだったし」
「私は、ちゃんと竜矢くんは乃華さんのこと好きだったと思うよ」
彼の目を見てはっきりと言った。
「相手の喜ぶことは何かなって考えられるのは、本当に好きだったからだと思うよ」
竜矢くんがみんなに優しいから不安になるという気持ちは、わからないでもない。
私も付き合う前は、彼の優しさを勘違いしてはいけないと自分に言い聞かせていたから。