苦手な同僚が同担だった件について。
*
散歩から戻って浴衣に着替え、大浴場に向かった。
当然だけど大浴場は男女別。露天風呂もあってゆっくりできて、とても気持ちいい。
良い湯だったと思いながら暖簾をくぐり、ちょうど通りかかった人物と目が合って驚いた。
だってそこにいたのは、あの乃華さんだったから。
「あ……」
乃華さんも私と同じ浴衣を着ている。もしかして、この旅館に泊まっているの?
こんな偶然、あるのだろうか。
向こうも私に気付いたのか、ハッとした表情で声をかけてきた。
「あの、竜矢の彼女さんですか?」
「えっと、はい……」
「すみませんが、少しお話させていただけないでしょうか」
それはつまり、竜矢くんとってことだよね?
「竜矢くんならまだ、大浴場にいると思いますけど……」
「いいえ、あなたと」
「え?」
竜矢くんじゃなくて、私と?
聞き間違いかと思ったが、彼女は真っ直ぐ私のことを見つめている。
「竜矢の彼女さん、どうかお時間いただけませんか?」
やっぱり私なんだ……。一体何故?
「……わかりました」
正直言って元カノと相対するなんて嫌だけれど、何となく彼女の様子から嫌味を言われるようなことではないのだろうと思ったから了承した。
私たちは自販機の隣にあるベンチに座る。
気を遣ってくれたのか「何か飲みませんか」と言われたので、「水でいいです」と言ったらウォーターサーバーから水を汲んできてくれた。