苦手な同僚が同担だった件について。
思わず彼から財布を引ったくってしまった。
わざわざ拾ってくれたのに心にもない行動だということは自覚している。
だが今の私にそんなことを考えている余裕などなかった。
会社ではひた隠しにしていたのに、バレてしまった。
よりにもよってこの男に。
「あ、これは……」
「角田さん、エルメイツなんですか?」
「え?」
予想外のワードが飛び出して思わず顔を上げる。
エルメイツとはL.knightsのファンのことを指すファンネームだ。
「そのブロマイド、この前のシングルの初回盤限定特典のブロマイドですよね?」
そうだけど、何故そのことを知っているのだろう?
ファンでない限り把握しないはずの情報なのに、一体どういうこと??
予想外の展開にハテナマークが脳内を駆け巡る。
「そうですけど……」
「やっぱり! もしかして桂馬推し!?」
「いやっ、」
「俺も!!」
……はい?
咄嗟に否定しようとした言葉に上から被せられた力強い肯定にますます困惑する。
「俺もエルナイ大好きなんだ! しかも桂馬推し! えっ、マジか! やべえ!」
何がやばいのか全然わからないが、とりあえず興奮しているらしいことはわかる。
いや、待って、飛鳥竜矢が桂馬推し?
どういうことなの?
「あーーっ、どうしよう、めっちゃ話したい! でも行かなきゃ……角田さん、お願い! 仕事終わったら時間作って!」
「えっ」
「個人チャットしとくから!」