苦手な同僚が同担だった件について。
私の返事も聞かずに「また後で!」と言ってあっという間に立ち去ってしまった。
ポカンと立ち尽くしたままその場に残される。
だが段々と冷静になって困惑する気持ちが大きくなっていた。
何あれ、飛鳥さんがエルメイツ? 冗談ではなく?
だけど嘘つくメリットなんてどこにもない。
あの飛鳥竜矢が桂馬推しだなんて信じられない。
あまりの衝撃だったが、急にハッと気づく。私がエルメイツだとバレてしまったことに。
あんな誘い、絶対行きたくないけれど会社で言い触らされるのは困る。
何とか口止めしなければ。
それに興味が湧いてしまっているのは事実だ。
エルナイは圧倒的に女性ファンが多く、ライブで男性を見かけても大抵は彼女や奥さんの付き添いだと思われる人ばかりだ。
純粋な男性ファンと出会ったのは初めてだった。
だから話を聞いてみたい気持ちがある。
桂馬のどこに惹かれたのか。
「……なんて、そんなこと聞いてどうするの」
これは一生の不覚なのだ。深入りするようなことは避けるべき。
私がすべきことは、エルナイのファンであることを口止めすること。
ああ、それにしても本当にやらかした。
よりにもよって飛鳥竜矢にバレてしまうなんて。
私は溜息をつきながらデスクに戻った。
とにかく頭を切り替えて、残りの仕事を片付けることだけに集中した。