苦手な同僚が同担だった件について。


「嬉しいです。桂馬の魅力がわかってもらえて」


 しかも同性から見ても桂馬はカッコいい、魅力的な人として映っていることが嬉しかった。


「……角田さんが笑ってるとこ、初めて見た」
「!」


 指摘されて慌てて頬を抑える。
 つい締まりのないニヤついた顔を晒していたかと思うと、恥ずかしい。


「わ、忘れてくださいっ」
「なんで? かわいいのに」
「っ!?」


 かわいいなんて、久しく言われていない言葉だった。
 そうだ、飛鳥さんはこういうことをサラッと言えてしまう人だった。


「笑ってる方がいいなって思うよ」
「……やめてください」


 そういう甘い言葉で何人もの女性を勘違いさせてきたのだろう。
 だが私は惑わされない。


 ――かけるちゃんはいつもかわいいね。


 甘い言葉には必ず毒が含まれている。
 私はもう二度と毒に侵されるのは御免なのだ。

 少しずつ開いていたシャッターがガラガラと音を立てて閉じてしまった。


「ごちそうさまでした。そろそろ出ましょうか」
「あ、そうだね。俺から誘って付き合ってもらったんだし、ここは奢らせて」
「大丈夫です。エルナイに投資するお金は自分のお金と決めていますので」
「そっか。ううん……」


 飛鳥さんは首を捻って唸る。ファンとして私のポリシーがわかるだけに、複雑なのだろう。

 少し考えた後、パチンと指を鳴らした。


「それじゃあ今度ランチ奢りますよ!」


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