苦手な同僚が同担だった件について。


 * * *


「角田さん、ほんっとーにすみませんでしたぁ」
「……いえ」


 翌朝、出勤すると早々に戸川さんに謝られた。


「不備だらけだったって聞いて、本当に申し訳なかったですぅ」
「いえ、気をつけてください」


 本当はちゃんと確認しているのか? 何をしたらあそこまで数字を間違えるのか、問い質したかった。

 だけど私にそこまでする義理はない。
 私は彼女の教育係ではないし、むしろ社歴で言えば彼女の方が先輩だ。

 あまり関わり合いになりたくないけど、これだけは伝えておこうと思った。


「昨日飛鳥さんが手伝ってくださいました」
「え、飛鳥さんが?」
「他の部の方に手伝っていただくのは申し訳なかったんですが、私が困っているのを見かねて声かけてくださったんです。おかげさまで無事終わったので、飛鳥さんにもお礼を言っておいてください」
「……えー、そうだったんですねぇ。ありがとうございますー。歩美からもお礼言いますー」


 戸川さんは笑っていたが、口元がやや引き攣っていたのを見逃さなかった。
 あのまま自分がやっていれば意中の相手が仕事を手伝ってくれたかもしれないというチャンスを逃し、悔しいのだろう。

 別に嫌味のつもりや、マウントを取りたいというわけではない。
 きちんと本人の口からお礼をすべきだと思ったので、伝えたまでだ。


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