苦手な同僚が同担だった件について。
もう恋愛なんて二度とこりごりなのだ。
自分の気持ちを乱されて、振り回されて、挙句にボロボロにされて終わるだけ。
何も残らない、心に深い傷が残るだけ。
もうあんな思いはしたくない。
「あ、角田さんお疲れ様です」
「っ、お疲れ様、です」
社内ですれ違っても、飛鳥さんは挨拶と業務に関わること以外は話しかけてこなくなった。
きっと彼なりに気を遣ってくれている。
「そういえば、さっき自販機で買おうとして間違えて押しちゃったんですよ。角田さん、いります?」
「えっ」
そう言って飛鳥さんが見せたのは、エルナイがCMキャラクターを務めるレモンサイダーだった。
間違えたなんて、絶対に嘘だとレモンサイダーを見てすぐに気づいた。
「ありがとうございます、いただきます」
飛鳥さんはニコッと微笑んでピースサインを送る。
ああもう、本当にずるいなぁ……。
苦手な同僚の意外な一面を知れて良かったと思っていたけれど、こんなことになるなら知りたくなかった。
でも、時を戻すなんてことはできないのだから、このまま進むしかない。
こんなに気の合う同担仲間ができて嬉しいのは事実。
飛鳥さんとはこれからも良い友人でいたい。
だからこそ、芽生え始めている自分の気持ちには蓋をした。
この関係が続く限り、見て見ぬふりをすることを心に誓った。