苦手な同僚が同担だった件について。


 思わずブワッと顔が熱くなる。
 名前を褒められただけで、急に体温が上昇する。


「ねぇ、これからはかけるって呼んでいい?」
「えっ!?」


 な、なんで!?


「一回呼ぶと何回でも呼びたくなる」
「な、なにそれ……」
「大丈夫! 会社では角田さんって呼ぶし、絶対呼び間違えたりしないから」


 そういう問題なの?
 そもそも会社では当然じゃない?


「かけるも俺のこと名前で呼んでよ」
「えっ」
「もしかして、知らない?」
「し、知ってる! 知ってるけどっ」


 だからといって簡単に呼べない。


「本当に知ってる?」
「知ってるって! ……竜矢さん、でしょ」


 あああ、何これ! 名前を呼ぶだけのことが、どうしてこんなにも恥ずかしいの?
 呼び慣れない響きで心臓がバクバクしている。


「さんはやだ」
「!?」
「なんか距離あるじゃん」


 ムスッと子どものようにむくれる飛鳥さん、ちょっとかわいい。
 いや、そうじゃなくて!
 さん付けがダメならなんて呼べばいいの?

 一応年上だし、流石に呼び捨てにするのは抵抗がある。


「……竜矢くん」


 悩み抜いた挙句、そうボソリと呟いた。
 若干声は震えていたし、顔はりんごみたいに真っ赤だった。
 脇からは変な汗をかいている。


「まあ、それでいっか」


 飛鳥さん、いや竜矢くんはニコッと微笑む。


「じゃあ二人で会う時はそれで」
「うっ……」


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