苦手な同僚が同担だった件について。


 あの頃はとにかく波風立たせないように必死だったと思う。
 私は入社時は事務として採用された。事務の仕事も好きだったけど、二年目でいきなり営業部に異動になった。

 慣れない仕事を覚えるのに必死だった。
 営業は人と関わることが多い分、時には面倒なこともあったりした。だからなるべく誰とも波風立たせないように、コミュニケーションには気を遣っていた。

 その分変に気を遣いすぎて疲れることもあったけど、仕事は嫌いではなかった。
 事務と違うのは、明確に自分の成果が数字で表れること。

 それを苦手とする人もいるけれど、私は案外性に合っていると初めて自分の営業成績を見て気づいた。
 自分の成績を見てもっと頑張らなきゃと燃えるし、今月はこれだけ頑張ったんだと自分にご褒美をあげたくなる。

 何より私には桂馬という無二の存在がいるので、推しに癒されつつ仕事を頑張っていた。
 営業四年目ともなれば視野も広くなり、任されることが増えてゆく。時には残業が多い時もあったけど、休日はエルナイでフル充電していた。

 所謂バリキャリだった二十七の時、あの人と出会った。
 玉城商事の専務・玉城(たましろ)将信(まさのぶ)に。


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