苦手な同僚が同担だった件について。
将信さんは苗字からわかる通り、玉城商事の御曹司だ。当時三十三歳という若さで専務だった。
彼と初めて会ったのは、玉城商事の担当者として挨拶させていただいた時だった。
「角田さんの企画、とても素晴らしかったです。これからよろしくお願いします」
専務を前にしてカチンコチンに緊張していた私を、柔らかい笑顔で迎えてくれた。
それだけでなく、私の企画をとても褒めてくださった。
落ち着いていて頭が良くて、できる大人の男。
それが将信さんの第一印象。
仕事と推し活ばかりで恋愛にはご無沙汰だった私に、突然ときめきをもたらしてくれた。
このときめきは、桂馬に感じるものとは全く異なる。
私は桂馬に恋をしているわけではない。
ただ一ファンとして桂馬を応援したい。桂馬はあくまでエネルギーと癒しをくれる存在。
だけど将信さんは、恋というときめきを思い出させてくれた人だった。
仕事で接する時の誠実さと優しさに惹かれるのは一瞬だった。
とは言え取引先の専務だし、どうなりたいと思っていたわけではなかった。
関係が変わったのは、打ち合わせ後に軽く飲みに行こうという話になった夜のこと。
「もう少しだけ一緒にいたい」
憧れている人にいつもより熱っぽい視線で真っ直ぐそう言われ、高揚する気持ちを抑えられなかった。
そのまま私たちは一夜を共に過ごした。