苦手な同僚が同担だった件について。
「あなたが角田かけるさん?」
ある日、突然見知らぬ女性に声をかけられた。
会社から出てきたところを待ち伏せていたのか、その女性は腕を組んで私を睨み付けていた。
「はい、そうですが……」
「私、玉城将信の妻です」
え…………?
「あなたにお話がございます。お時間いただいてよろしいでしょうか」
突然頭を鈍器で殴られたような気持ちだった。
訳がわからないまま私はその人について行き、一緒に入ったカフェで改めてこう言われた。
「玉城が既婚者と知って彼に近づいたんですか?」
「違います、知らなくて……」
「嘘言わないで! この泥棒猫!」
違う、本当に知らなかった。
だって将信さん、一度も指輪をしているところなんて見たことない。
初めて挨拶した時からどの指にも嵌めていなかった。
結婚って、いつから?
どういうことなの?
「い、いつからですか? その、ご結婚されたのはいつから……」
「五年前です」
五年前!? 嘘でしょ……?
私と知り合った時には既に既婚者だったということ?
「とにかく慰謝料を請求させていただきますから」
「ま、待ってください! 私、本当に知らなかったんですっ。結婚していたと知っていたら、付き合ってませんでした」
「そんなこと、どうとでも言えますよね」
奥さんは冷たく言い返す。頭が真っ白になっている私を置いて、奥さんは立ち去っていった。
テーブルにコーヒー代だけを残して。