苦手な同僚が同担だった件について。


 戸川さんのコミュ力の賜物ともいうべきか、集まった人数は結構多かった。
 色んな部署の人が集まっているのを見ると、戸川さんの顔が広いことがよくわかる。
 竜矢くんも誘われていたのか、彼も来ていた。

 一応戸川さんって竜矢くんにフラれているんだよね?
 それでも誘えるってなかなかすごいな……。

 私と竜矢くんの座ったテーブルは対極で離れている。
 相変わらず彼の周囲は賑やかだ。同じテーブルに戸川さんもいるが、特に気まずい雰囲気はなく楽しくおしゃべりしているようだ。

 視線の端でチラッと見ながら安心した。


「角田さんが来てくれるなんてびっくりしました!」
「何飲まれますかー?」
「えっと、ビールを……」


 ビールは得意なわけではないが、とりあえず一杯目はみんなに合わせて様子見することにした。


「今日はどうして来てくれたんですか?」
「戸川さんに誘っていただいたので。それに皆さんにきちんとお礼がしたかったんです」


 私がそう言うと、周りはみんなきょとんとする。
 やや緊張しながら、でも勇気を出してぺこっと頭を下げる。


「先日はご迷惑をおかけしました。皆さん助けてくださってありがとうございました」
「えっ、そんなのいいのに。気にしてないですよ」
「角田さんにはいつもお世話になってますし」
「困った時は助け合いでしょ?」


 ああ、やっぱり私は本当に良い会社に入れたんだなぁと実感した。


「……ありがとうございます」


 自分でも気づかないくらい自然と笑えていた。


< 96 / 140 >

この作品をシェア

pagetop