かりそめの恋人なのに、溺愛が止まりません
光高は急に男の名前がつぐみの口から聞かされて、戸惑いを隠せなかった。

(元彼の名前か、まだ忘れられないのか)

光高は怒ることも、機嫌を悪くすることも出来る立場ではない。

それなのに、平常心を保つことが出来なかった。

光高はベッドから起き上がり、シャワールームへ向かった。

(私、なんで正臣の名前を……)

それから光高は一言も言葉を発しない。

(えっ、怒ってるの?)

つぐみは咄嗟に謝った。

「光高さん、ごめんなさい」

「なんでつぐみは俺に謝っているんだ」

「あっ、えっと……」

「お前が元彼の名前を囁いて、俺が怒ったと思ったのか」

「だって、何も話していただけないから……」

「そうだな、散々元彼のことは聞かされてきたのに、今はすごく嫌な気持ちになっている、この気持ちはなんだ」

「恋人同士なら、ヤキモチですかね」
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