かりそめの恋人なのに、溺愛が止まりません
「それはそうでしょう、つぐみは俺への当てつけに社長と結婚したんですから、社長もそうでしょ、つぐみを愛しているわけではないですよね」

「つぐみが俺をどう思っていても、俺はつぐみを愛している、五年前からずっとだ」

柿崎は光高の言葉に唖然とした。

(まさか、社長が五年もつぐみに思いを寄せていたなんて……)

「失礼します」

柿崎はその場を後にした。

(まさかの両思いだったなんて)

柿崎はショックを隠しきれずにいた。

その頃、つぐみは光高の気持ちを確かめたいと会社に向かっていた。

(まず、光高さんの気持ちを聞かなくちゃ、赤ちゃんのことはそれからよね)

つぐみは一人で育てる結果も覚悟していた。

つぐみは社長夫人だが、社員によく思われていない。

女性社員には特にだ。

ましてや、社長に会いたいなど、申し出ることなど出来ない、あること、ないこと勘繰られてしまう。
道を挟んだ場所から、会社の入り口を見てどうするべきか悩んでいたつぐみに声をかけたのは柿崎だった。

「つぐみ、こんなところで何をしているんだ」
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