かりそめの恋人なのに、溺愛が止まりません
「正臣」

「社長に用があるのか」

「うん、いるかな」

柿崎は光高とつぐみの態度から、二人に何かが起こったんだと察した。

「朝、今日の予定を聞かなかったのか」

「あっ、うん、朝、バタバタしてて」

「今日はいないよ、取引先に出かけてる」

「そうなんだ、ありがとう」

その場を去ろうとしたつぐみに、柿崎は声をかけた。

「ちょうどよかったよ、昨日社長と話したんだけど……」

「何を話したの?」

「やっぱり、つぐみと社長は愛のない結婚だったんだな」

「えっ」

「つぐみを愛してはいないって言ってたよ」

つぐみは目の前が真っ暗になったようだった。

「時期を見て離婚を考えているとも言ってたな」
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