隙なしハイスペ女子大生は恋愛偏差値が低すぎる。
「そっかあ、斉木さん彼氏いるのか~」

 杉本さんの勝手な予想を聞いて、紘は腕を組んで大きなため息をついた。

「なになに?関口くんは里香ちゃん狙ってたの?」

 目をきらきら輝かせた杉本さんは、さっきの紘と同じように前のめりになって紘に迫った。

「だっていいじゃん、あんな美人が隣にいる生活。男の憧れだよ」

「お前さ、女の子をステータスみたいに考えるのやめろよ」

 苦笑しながら俺は紘を制止した。杉本さんからは、さっぱりしていて話しやすく斉木さんと一緒にいても卑屈になったりしない大らかさを感じられた。にしても、紘の発言は女子の前でするものではない、と思う。

 しかし、お調子者の紘は俺の言葉など聞こえなかったかのように口を開くのを止めなかった。

「でも斉木さんみたいなスペックの女子ってさ、男のプライドずたぼろにされる可能性あるから、アクション起こせる男って意外といないと思うんだよね。そこで見事にゲットできたその彼氏ってやつ、かなり強気で自信家で俺様だと思うな~」

 男性ではない杉本さんは「なるほど~そういうものなんだ~」と妙に納得したように相槌をうった。

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