隙なしハイスペ女子大生は恋愛偏差値が低すぎる。
 それから話はまたお互いのサークルの話や真面目なプレゼミの話になり、そろそろ話題も尽きてきたという時にはもう外は真っ暗だった。

「じゃあまた来週からよろしくね!」
 
「プレゼミ以外でもかぶってる講義あったら声かけて」

 カフェを出てそれぞれの帰路へとつながる駅の方向へ別れる。同じ駅を利用する人たちもいれば、俺が利用する駅はこの中で自分1人しかいなく、俺は1人で駅へ歩を進めた。


 遠くに見える千鳥ヶ淵の桜は葉桜に混ざって、まだうっすらと残っている花もある。夜の花見を楽しむべく、のんびりとお堀沿いを歩いている人影もちらほら見えた。

 ───俺は、斉木里香が急に姿を消したことと、ゼミ室で見せた何かを思い悩んでいるような表情を思いながら、オレンジに照らされた街灯の下を静かに歩いた。

 
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