隙なしハイスペ女子大生は恋愛偏差値が低すぎる。
「わーっ…!すごいっ…すごいね…!」
大きな目をさらに大きく見開いて斉木さんは感嘆の声を上げる。
「思ってた以上にずっと大きいお店!4階まであるんだ…!」
フロアガイドを見てから辺りをきょろきょろ見渡す姿は、テーマパークに来た無邪気な小さい女の子のようだ。
「とりあえず1階から順番に見てみる?各階でイベントやってるみたいだから興味あるのあったらその都度見てみよう」
「うん!」
そう元気よく返事をすると斉木さんは俺の方など全く見ずに、吸い込まれるように書棚の方へと向かっていった。
1階は場所柄かビジネス書が多く、そういう分野にも興味があるのか斉木さんは自然と1人行動をし始めた。とりあえずぐるっと1周歩いてみてから興味のある本を手に取るとしばらくは立ち読みをして。その様子を遠くから眺めた後、俺も興味のある本を探してからしばらくの間一人で立ち読みにふけっていた。
そんな調子でそれぞれ立ち読みしては移動する、を繰り返し、ちょうどお互い立ち読みが終わったタイミングで「次の階に行こっか」と上がっていくのだった。
時折、気になるイベントに2人で立ち寄って、本の人気投票に投票してみたりアンケートに熱心に答えたり、大人の塗り絵をしてみたり、有名編集者の講話を聞いてみたりとあっという間に時間は過ぎていった。