隙なしハイスペ女子大生は恋愛偏差値が低すぎる。
それから私たちは頻繁に連絡をとり合い、いろんな話をした。短い期間に何度かデートもした。涼太さんの車に乗せてもらって日帰りで旅行したり、ウィンドウショッピングをしたり、映画館に行ったり。
そんなある日、いつものように涼太さんと通話しているとふいに思い出したような口調で聞いてきた。
「そういえば里香ちゃんっていつ19才になるの?」
特に話す必要もないだろうと思ってあえて伝えていなかったことなのだけど。
「えっと…あさってです…」
答えると同時に涼太さんが「えー!!」と大声をあげるので、私は慌ててスマホを耳から遠ざけた。
「言ってよ!!」
「ごめんなさい…普通伝えるものなのかどうかわからなくて…」
「あー謝る必要ないんだけどさ…。うわー、なんとかして仕事の都合つけるからさ、あさってお祝いしようよ」
言葉に詰まる。というのも、誕生日は毎年家族でお祝いするということが決まっている。今年も例外なくそうだろう。父も母も私がいつまでも子供だと思っているようで、先週からウキウキで何が食べたいかとか何が欲しいかとかで盛り上がっているのだ。
「本当に気持ちは嬉しいんですけど…当日は両親と過ごすことになってて…なので翌日以降であれば嬉しいです…」
「…箱入り娘だ」
ちょっと拗ねたように冗談めかして言ってくれる優しさにほっとする。
「本当に当日以外ならいつでも良いんです。涼太さんの仕事のこともあるし、忙しくない時に会えればそれで十分ですから」
なんかちょっと申し訳ないことしちゃったかも、と思いながら涼太さんの優しさに甘えることにした。
「じゃあさ、何かしたいことある?食べたい物とか。なんでもいいよ」
「えっと…それじゃあ…」
「うん」
「涼太さんのお家に行ってみたいです」