隙なしハイスペ女子大生は恋愛偏差値が低すぎる。
この日以降、もしかして自分には女としての魅力がないのか、自問自答をする日々がしばらく続いた。そういえば付き合って1ヶ月以上、キスもなければ手をつないだこともさっぱりないのだ。
あまりこういう話は得意ではないのだけど、大学で仲の良い菜月ちゃんに相談をしてみることにした。
実は1ヶ月以上前から彼氏がいたこと、その後何の進展もないこと。なんとなく、涼太さんの年齢や会社などの個人情報は伏せて。
そして菜月ちゃんはさっぱりした感じで答えた。
「本人に聞いてみるのが手っ取り早いよね」
「な、なるほど……!!」
そして今日。土曜日の昼下がり、渋谷の商業施設に入るカフェで涼太さんに直接聞いてみることにしたのだ。
「…あの…涼太さんは、その…わたしと…あ、あ、あれをしたくないんですか…」
明らかに無理している私の様子を見て涼太さんは笑いながら答えた。
「あれ、ってなに?」
「〜〜〜!わかりますよね!もう!」
涼太さんは更に大きな笑い声をあげた。
「そんな簡単に19歳の子に手出せないよ」
尚も涼太さんは大きな口を開けて笑っている。
(……そんなものなのかぁ。もっと男の人ってがつがつしているのかと思ってたけど…)
「俺だってがつがつ行きたいよそりゃあ」
「!?」
心の声が漏れてるのかと思ってびっくりする。私の考えていることが見事に的中したのだとわかった涼太さんは、また楽しそうに笑った。
「…涼太さんって、結構意地悪なとこありますよね…」
考えていることがバレた恥ずかしさで、肩をすくめてぽつりと呟く。
「ごめんごめん。でもね、もちろん男だから我慢してるんだよ」
「…全然そんなふうに見えないです」
「大人に見せるように必死なの。里香ちゃんに気に入られようとかっこつけてるだけ」
平然とそんなことが言えちゃうのがやっぱり大人だなぁと思いながらじっと涼太さんの顔を見る。そんな私を涼太さんは「どうしたの?」という感じで見つめ返してくる。
もう目が合っても大丈夫だった。たぶん、涼太さんとならこの先も進めるはず。
「私、涼太さんなら大丈夫…です」