Lord of My Heart 〜呪われ伯爵の白い(はずだった)結婚〜
実際のところ、マーガレットの仕立て屋はさまざまな意味で気の利いた店だった。
採寸室の端にはクルミ材でできた腰までの高さの華奢な台があって、その上には魅惑的な琥珀色をした飲み物で満たされたクリスタルのデキャンターが置かれている。
丁寧にも、その横には小ぶりの銀杯が二つほど、婦人の採寸に付き合わされて辟易している夫たちの機嫌を少しでも良くするために並んでいた。
確かに、今のエドモンドの機嫌はいいとはいえない。
しかし、強い酒をあおって正気を失うようなことになるには、あまりにも危うい状況に身を置いているのをよく分かっていた。酒には人一倍強いエドモンドだったが、今日ばかりは自信がない。
デキャンターから目を離したエドモンドは、今度は板張りの床を凝視する作業に熱中することにした。
あるいは、自分の革靴を。
あるいは、埃を。
あるいは……くそ、なんでも構わない! オリヴィアでさえなければ!
花のようなオリヴィアの笑顔と、彼女から受けた賞賛のような言葉に、エドモンドは途方にくれて毒づいていた。